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15:名無しさん@お腹いっぱい。 / :
「無留歩(ぬるぽ)」
古代中国の貧しい農村において、子供達の娯楽は大変限られたものであった。
子供達は身の回りにある様々な物を用いて暇を潰していたものと思われるが、
残念ながらそのような遊びを体系的に記録した書物など残っておらず、大半は
歴史の彼方に消失してしまっている。
今日伝わっている数少ない娯楽の中で最も奇妙なものとされるものの一つに、
「無留歩(ぬるぽ=止まってはならないという意)」がある。これは一種の鬼ごっこであり、
最初に一人の子供が「無留歩無留歩無留歩〜〜〜」と叫ぶと、周りにいる他の子供達は
急いでその場を離れなければ最初の子供に問答無用で殴られてしまうという非道なものであった。
このような理不尽な遊びであったので、いつからかこの遊びは親達から
「無法地帯生成遊戯」との烙印を押され、禁止されるようになったという。
子供達は「無留歩無留歩無留歩〜〜〜」と叫ぶ者を見かけると逆に制裁を加えるようになり、
あえて危険を冒してしようという者はいなくなってしまった。
しかし近年、インターネットという無感覚の世界でこの常軌を逸した習慣が蘇り、
今日観られるように果てしのない応酬が至る所で行われている。上述したように、
殴る方と殴られる方が逆になってはいるものの、ほぼ原形をとどめた状態で
現在まで伝わっている大変貴重な遊戯であるのは、言及を要しないことであろう。
民明書房刊 「中国に伝わる遊戯の変遷と我が国文化への結実」 より抜粋

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